■ヤウダゴベとは

活動地に暮らすハウサ族をはじめとする多くの人々が話すハウサ語の、「今日と明日」という言葉であり、「日々の積み重ね」を意味する慣用表現です。

例えば、日本だったら、私たちの家の水道やトイレが壊れたら、修理屋さんを呼んでお金を払って直してもらいます。小学校の教室は税金を使って政府が建て ます。病院の運営は、給料をもらって働く病院の職員さんがやります。道が壊れたら、政府が直してくれる事があります。家はローンを組んで大工さんが建てま す。お金を払って、専門の人にやってもらう事が多いですね。

 ヤウダゴベが対象にするニジェールの村では、水道はなく、井戸を使います。井戸が壊れたら、村人がお金を出し合って、修理に必要な道 具や資材を買って、村人で協力して直します。小学校の教室は、待っていても政府は建ててくれないので、村人で協力して建てます。診療所には看護士が一人い るだけなので、薬を調達したり、診察料の回収をしたり、病院の運営は村人でやります。激しい雨の後、道が壊れたら、村人で土や石を運んで道を埋めて直しま す。家も村人が協力して、レンガを作って、泥をレンガの間にかませて建てていきます。一人でできない大きな仕事は、村人で協力してやることが多いです。

 例えば、日本なら、近所に住むスーパーのレジの仕事をしている人と、幼稚園の先生と、商社勤務のサラリーマンと、建築士と、高校生が 小学校の教室を建てるための話し合いをしても、おそらく建築士がずば抜けた知識を持っていて、他の人はちんぷんかんぷん。経験をもとに同じレベルで話し合 うのは難しいでしょう。

 ニジェールの村では、一人一人の住民が井戸も直せて、畑も耕せて、家畜の世話もできて、道も直せて、小学校の教室も建てられる。ひと つひとつの専門性は日本よりも低くても、みんなで共有できる経験がたくさんあります。だから村の事についても、いろんな事をみんなで考えて、決めて、段取 りを組んで、動けるんだと思います。

 このような村人の持つ豊かさを土台に、これから村人が彼らの村をどうしていこうとするのか。村人には手の届かないようなものすごく難しい技術を必要とする取り組みはやりません。村人が既に持っている知識や技術、人とのつながりの 中でできる事を出発点に取り組んでいきます。

■ごあいさつ


閲覧してくれている方々へ 

 

はじめまして 



ヤウダゴベで共同代表という肩書をもらっています、郡司光と申します。

現在ニジェールでは農繁期が過ぎ、農民としての仕事が一段落した村人は思い思いの日々を過ごしはじめます。ニジェールでヤウダゴベに関わっている村人もほとんどが農民なので、空いた手をヤウダゴベとしての活動に向け始めます。地域での活動が活発化するため、この時期がヤウダゴベにとっての本番と言えます。 

 

それに伴い、現場で活動している三木共同代表が担う役割も増えていきます。本来であれば発起人であり、実動者である三木夏樹本人からメッセージをお送りするところですが、現在は現場活動に専念しているため、一時的に郡司が代わりを務めていきたいと思います。三木からのメッセージは活動の合間を見て送られてくるので、その都度ごあいさつや活動報告等をアップしてく予定です。 

以下、郡司からのごあいさつを簡単にお伝えします。 


 

私たちのような端っこの、マニアックな活動を行っている団体に興味を持って下さり、本当にありがとうございます。このサイトに目を向けていただいただけで、とてもうれしく思います。 

 

私たちの活動は目に見える成果はあまりなく、「成果」という考え方自体にも疑問を持った見方で現場を捉えます。 

「村に診療所ができたおかげで、子どもが死ななくなった。代わりに食い扶持が増えた。」 

これは、果たして村人にとってどういうことなのか。ことの良し悪しも含め、様々な角度から考察できる事なのだと思います。しかし外部者である私たちがいくら考え、議論してもそこに答えはありません。私たちが一生その村に留まることはないし、そこで生まれてきた価値観を理解するのにも、相当の時間と労力を要するからです。とどのつまり、こういった問題はその地にいる村人や、その子孫が考えていく事です。その手伝いをするのが、ヤウダゴベの主な役割です。 

 

こんな調子なので、私たちの活動はよく「わかりにくい」と言われます。「与えない」、「教えない」、「見てるだけ」。今主流になっている援助の形と比べたら、そう捉われても仕方ないかもしれません。実際、与える事で救われる命はあるし、教える事によって改善される問題はあると思います。しかし、それだけで十分かと問われると、それも違うと思います。与えたり教えたりすることは、外部者がその村の問題を肩代わりすることにもなり、それは住民が援助に依存し、自ら道を切り開く力を削ぐことにもなり得るからです。 

 

そもそも、その問題はなぜ起こったのか?住民はそれをどうとらえているのか?そういった紐解きを行い、問題の原因の、奥の奥の、根っこには何があるのか。もしかしたら住民ですら、当たり前すぎて気づいていなかったものを探し出す役割もまた、人が生きるにあたって必要なのだと考えます。 

 

こういった考えに共感していただけると幸いですし、私たちの活動を知って、「こんな世界もあるのか」「こんな見方もあるのか」と、脳みその端っこにとどめていただけるだけでも、私たちにとっては喜ばしい事です。 

 

願わくは、私たちの「分かりにくさ」を楽しんでいただけると嬉しいです。 

 

2023年3月3日 

郡司光 

 

 


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